2012年3月21日水曜日

驚異の3Dスプリント7

3Dスプリントの適応症の代表的なものは、関節円板偏位です。

関節円板偏位を2つのタイプに分けることができます。

1つは、前回お話ししました3Dスプリントを装着すると、即時か1週間以内に下顎頭が筋骨格安定位に戻るケースです。これを、私は即時復位性関節円板偏位と呼んでいます。

もう1つは、暫時復位性関節円板偏位と呼んでいますが、3Dスプリントを装着し、1週間以上経たないと下顎頭が筋骨格安定位に戻らないケースです。

病名を複雑にしないように関節円板偏位と呼んでいますが、当然、関節円板の歪(ヒズミ)という現象が同時に起こっています。

では、暫時復位性関節円板偏位のケースを紹介します。
筋骨格安定位に戻るまでに、1ヶ月を要しました。

画像をクリックすると拡大されます。
3Dスプリント装着1ヶ月で体の左右の歪み(ユガミ)がとれました。

初診時に、患者さんが装着していた装置です。
この患者さんが通院していた医院では、どんな患者さんでもこの装置を入れるようです。
この患者さんの場合は、歯の「すり減り」を防止するために入れた装置です。
これだけの開口量があると、口呼吸を誘発することになりかねません。
下顎に付けたプラスティック製のネジを回して左右の高さを調整するそうです。
特許を取っているのが、ご自慢ということです。
しかし、このネジの位置より後方に側頭筋や咬筋がありますのでネジが支点になって
下顎頭を下顎窩に押し上げますので、顎関節症増悪器になりかねません。
この患者さんは10年間この装置を入れていたそうです。
関節円板前方転位に至らなかったのは、咬合高径が挙がりすぎているのが幸いして
咬合力が大きく加わらなかったためでしょう。

私の医院で入れた3Dスプリントの正面観です。
初診時に入っていたものに較べ、小さな装置で違和感が抑えられています。

3Dスプリントの咬合面観です。

左は初診時の正面観です。「左で噛めない」というのも患者さんの訴えの1つでした。
右は咬合調整後の正面観です。左側の接触状態も改善されています。
適正と思われる犬歯誘導、前歯誘導を与えました。その結果、
審美的にも改善されているのが分かります。
「歯ぎしりがなくなった」そうですが、Bite Strip やGrnd Care で確かめていません。
犬歯は削合したのみです。来週、セラミックで修復します。




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