2012年6月30日土曜日

顎関節症への対応

庭に今年最初に咲いたノウゼンカズラです。今から8月までが旬です。
中国やアメリカが原産です。
家内は、明日から上海へ孫に会いに行きます。
中国ではノウゼンカズラをよく見かけると思います。
花言葉は「女らしく」ということです。この花を見て、より「女らしく」なって帰ってきてくれるように!


「歯界展望」の7月号から「臨床医による顎関節症への対応を考える」の連載が始まりました。
顔ぶれから言って、また・・・・・という感じです。
「昨年7月の日本顎関節学会のイブニングセミナーの講演内容を基に、改めて数回にわたる不定期連載の座談会としてお示しするものである。」というふれ込みです。

文面からすると、連載のために改めて座談会が持たれるともとれます。一度、展望の編集の方に伺ってみようと思います。

改めて座談会が行われるのであれば、私の疑問について偉い先生方に答えていただこうと思っています。

文中、司会の中沢先生のつぎのまとめの発言がありました(青字部分)。

初期治療で対応できる患者さんについては、「様子をみていたら治りました」というように、患者さん自身で治してしまっていることも多いと思います。セルフリミッティングといわれる部分です。一方で、セルフリミッティングではない症例もありますので、何らかの治療を行う必要がある患者さんも存在していて、一般開業医が苦労するのは、その中でも特に対応が難しい患者さんではないでしょうか。とはいえ、一般開業医の先生には、多くの患者さんがセルフリミッティングであるか、初期治療で良くなるのだということを知ってほしいと思います。

この短い文でありますが、いくつもの疑問点があります。
1.初期治療とは?
2.患者さん自身で治せる顎関節症はあるのか?あるとすれば、どのような症例で、どのようなメカ
ニズムで治るのか?
3.セルフリミッティングとは、「患者さん自身で治せる」、「放っておいても治る」ということか?
4.難しい患者さんとは、具体的にどのようなケースなのか?

どのような答えがいただけるか。楽しみです。

2012年6月28日木曜日

小林義典教授最終講義

今夕、日本歯科大学補綴第一講座・小林義典教授の最終講義があり、出席しました。
9月に退職されます。


小林教授は私より3年後輩です。
大学院も一緒でした。学生時代からの付き合いで、50年近いお付き合いになります。
彼のデビューは、歯科評論に数回にわたり顎関節症の記事を書き、それ以来「咬合」一筋に歩んでこられました。特に睡眠歯学の分野では、右に出る人はいないでしょう。
日本歯科補綴学会々長、日本学術会議委員など重要な役職を歴任されると同時に、医局員、大学院生を指導され世界的に評価されている論文も数多くあります。

母校に、知り合いが少なくなっていくのは寂しいことですが、時代の流れでしょう。
その分、8月のセミナーで新しい先生と知り合い、若い先生方との交流が始まるのが楽しみです。

8月のセミナーは、まだ余席があります。興味のある先生にご紹介ください。
http://www.kamerukameru.com/ から「セミナー申し込み」をご覧下さい。

2012年6月27日水曜日

変形性顎関節症

今年最初に咲いた琉球朝顔です。
我が家の南向きの窓を覆うように植えてあります。
今年もグリーンカーテンとして、家族を夏の暑さから護ってくれることでしょう。

先日、初診で見えた51歳の患者さんのCT画像です。

前額断CT

右側顎関節

右の下顎頭が変形しています。鎌の形をしています。これを骨棘形成(Osteophyte)といいます。
右の大臼歯を30年前に抜歯し、そのまま放置しました。この変形は抜歯と密接に関係があると思われます。おそらく成長期に抜歯したために、下顎頭が下顎窩に押し上げられたために変形が起きたと推測できます。
咬合に影響を与える成長期の抜歯は極力避けるべきでしょう。

この関節は、さらに非復位性関節円板前方転位を起こしています。
どう治療してよいか?まったく見当がつきません。

Okeson の本にレントゲン画像を提供している Radiology and Dental Imaging Center of Wisconsin の
Dr.Jay Mackman は30年ほど前からの知り合いです。私の自宅に遊びに来たこともあります。
そこで、上の画像を送りアメリカではどのような対応をしているのかを、聞いてみようと思っています。
返事が来たら、皆さんにもお知らせします。

2012年6月26日火曜日

顎関節症の咬合治療 Okeson

Okeson のManagement of TEMPOROMANDIBULAR DISORDERS AND OCCLUSION の第7版を先週土曜日に入手しました。アメリカでの発売が先月の5月16日でした。多分 船便で来たのだろうと思いますが、早いと言えば早いですね。

新しい版の特徴は、

①Websiteへの発展です。会員になれば、自習ツールが手に入るようです。
顎関節の動きのアニメーションが見れたり、インストラクターのためには画像集が使えたりするよ
うです。
指定されたWebsiteへアクセスしていますが、見つかりません。多分、まだ準備中のようです。

②すべての図や写真がカラーになりました。
やはり、カラーの方が解かりやすいですね。

③治療手順と患者教育シートが改訂されました。

④一部の図が解かりやすくなりました。
右の新しい版では、重要な部分は拡大図が追加されました。

その他、当然のことながら内容が大きく変わったところもあります。
線維筋痛症の部分も大きく変わりました。
気が付いたところを、追々解説していきます。

英語ができないのに、英語の本を読むことは、つらくもあり楽しみでもあります。

2012年6月25日月曜日

関節円板前方転位

昨日の日曜日は、メディカルスキャニングhttp://www.medicalscanning.net/主催の講演会に参加しました。
演題は「基本から学ぶインプラントの画像診断」でした。


講師は、日本大学松戸歯学部放射線学講座・金田隆教授でした。
講演内容は、インプラント手術の際に画像を診て、ここまで押さえておけば安心できるという、よく整理された明確な内容でした。

金田先生は、ご承知のように私が開催する8月11,12日の「新しい顎関節症の考え方と治療法」の講師としてお招きします。
昨日の講演は午前中に終わりましたので、昼食をご一緒に摂りながら8月の打ち合わせをさせていただきました。
私の診療室で治療した関節円板前方転位の3名の患者さんの術前・術後のMRIを、セミナー当日解説していただけることになりました。

関節円板前方転位は復位性と非復位性がありますが、特に非復位性の場合は発症から6ヵ月以上経つと、治らないと言われています。金田先生に解説をお願いする一例は、非復位性で発症からかなり経過していましたが、2ヵ月ほどで治りました。

術後お母さんから次のようなメールいただきました。

お忙しい中、丁寧なご説明ありがとうございました。
お陰さまで、K子の顎の状態が急速に改善し、
ここのところ体調も良くなってまいりました。
短期間でここまで回復し、驚くと同時に感謝しております。
顎の状態が安定した後、矯正治療をお願いしたいと思っておりますが、
どのような治療になるのか伺ってから最終的に決めたいと考えて
おります。

この患者さんは、7月5日からデイモンシステムを採用している矯正専門医のところで治療を開始することになりました。
治療期間は、14ヵ月ほどですが、術後が楽しみです。

金田先生のお話では、「田中先生のところの治療後では、術後に驚くほど開口量が大きくなっている。メディカルスキャニングのマネージャに、術前にちゃんと口を開かせて撮影しているのか?と確かめたくらいです。顎関節症専門の先生から、ちゃんと治療したので改善されているはずだということで、術後のMRIを撮影するが、改善されているケースは見たことがない」ということでした。

私の医院では、現在何人かの関節円板前方転位の患者さんの治療を行っていますが、さらに確実により短期間で治療できる方法を開発中です。

2012年6月22日金曜日

顎関節症と姿勢

庭の山法師(山帽子)です。9月には実が採れるそうです。
果実はマンゴーのように甘く、果皮はシャリシャリと砂糖のような歯触りがあるようです。
果実酒にするとおいしいそうです。一度、試してみたいものです。

昨日の日本歯科大学での、前チュリッヒ大学歯学部長・サンドロパーラー先生の講演の話題に、仕事中の姿勢と筋痛の話がありました。
同じ姿勢をとっていると特定の筋の特定の部位だけに負担がかかり、この部位が筋痛を起こすという話でした。
当たり前と言えば、当たり前の話でした。

2012年6月21日木曜日

線維筋痛症6 私の提言


我が家の庭に咲いている“ねじ草”です。右に巻くものも左に巻くものもあるそうです。さらに途中で方向を変えるものもあるそうです
草花にも、それぞれ個性がありますね。個性的というのは魅力がある言葉ですが、
ねじれ過ぎた個性は考え物です。

さて、5回にわたり線維筋痛症について書いてきました。
最後に、「こう治りました」という結論を期待した方も多くいらっしゃったと思いますが、ご期待にそえず申し訳ございません。

2つの症例とも、患者さんが治療を中止されました。
2例とも復位性関節円板前方転位のケースでした。復位性関節円板前方転位のケースでは、私の医院では、特殊なスプリントを入れて治療します。このお2人ともスプリントを入れると、すぐにでも症状が回復すると期待されていました。しかし、即座には症状の改善が見られませんでした。

線維筋痛症の患者さんは、その差し迫った即効性のある治療を期待しています。しかし、歯科では、即効性のある治療はありません。今のところ即効性のある治療は、鎮痛剤や睡眠薬のみです。
歯科では、有効な薬も処方できません。
歯科では、打つ手がないというのが現状です。

下記が私の線維筋痛症に対する提言です。
1.歯科医全員が線維筋痛症に対する正しい知識を持つ
2.歯科医全員が咬合に対する基礎的な知識を持ち、咬合由来の線維筋痛症をつくらない
3.顎関節症治療には、全員が治療に当たらなくてもよいが、間違った治療だけは避ける
4.顎関節症治療に当たる歯科医は、線維筋痛症についてより高い知識を持ち、線維筋痛症専門
  医と連携して、咬合由来の線維筋痛症の治療にあたる

4.に関しては、線維筋痛症専門と呼ばれるほどの経験と知識を持った医師がいないというのが現状のようです。
1.2.3.で線維筋痛症患者さんをつくらないという手しかないのかもしれません。

今夕、日本歯科大学で前チュリッヒ大学歯学部長のサンドロ・パーラー教授を招いて「口腔顔面領域の疼痛」という講演会がありました。
質問の機会がありましたので、線維筋痛症治療について、質問しました。
「疼痛が出た時に初期の段階で、適切な治療を施すべきだ」という何とも肯けるような、肯けないようなお答えをいただきました。

2012年6月20日水曜日

線維筋痛症5

今日は台風一過、暑さの割には風があり過ごしやすい一日でした。

我が家の庭にある半夏生です。ちょうど夏が半分来た時に生えるのでこの名があるようです。
一名、半化粧とも呼ばれます。葉っぱの一部がお化粧をしたように白くなるからこの名が付けられたようです。8月ごろには葉っぱの白化が進むようです。

さて、私の医院で経験した2人目の線維筋痛症患者さんについて書いていきます。
4月28日のブログで紹介した患者さんです。ご自分の詳細な治療年表を持参された患者さんです。当初は、単純なケースで関節円板変位と診断しましたが、その後のMRI検査では復位性関節円板前方転位でした。
経過は、
2011.6.22 U歯科で右上456に20Kインレーセット
    7.02 金属アレルギーで全身に発疹 インレーを除去セメント充填 右でしか噛めない
    7.04 咳が止まらず2時間しか眠れず虎の門病院受診 咳止めなど服用 
       医科歯科大学紹介される
   8.16 医科歯科大学受診 
   9.14 右上4レジン充填
   9.17 顎がずれる 右で噛もうとすると着地がずれる 
       U歯科に行き相談したが、医科歯科大学でみてもらうように言われる
   9.21 医科歯科で、右関節が完全に開いていないが問題ないと言われる
       歯が移動しているのではと思いパニック
以降2012まで充填物を外したり入れたりを繰り返す。スプリント装着など 頸部の痛み、不眠が続きパニック状態最高潮にいたる。集中力低下、目の焦点が合わなくなってきた。舌が歪む。体が歪む。右側頭部から後頭部にかけザワザワ感が消えない。言語能力低下。
その後、全身に痛み。手の震え。などなど
脳のCT撮影も。
2012.4.21まで2軒の歯科医院、2つの大学病院、内科医院、鍼灸院などを巡る。
上記以外の通院回数31回
2012.4.28 当院初診
       何とか連休を乗り切りたいということで、とりあえず3Dスプリントセット
帰りにMRIとCT撮影
MRIの診断結果は、前記のように左右両側の復位性関節円板前方転位
当院にて、復位性関節円板前方転位の治療を始めるが、スプリントを入れると全身の症状が悪化するということで治療中止。

線維筋痛症について、どう対処すべきかは、打つ手がないという現状です。
しかし、目の前の患者さんに何も手を差し伸べられないのは・・・・・・・
次回に、私なりの提言を述べてみたいと思います。
   

2012年6月19日火曜日

ちょっと一休み

線維筋痛症の深刻な話題が続きましたので、今日はちょっと一休みです。


これは4年生になる孫が私にくれるために入手してくれた消しゴムです。
6月4日は虫歯予防ディでしたが、今も虫歯予防ディというのでしょうか?
今年は、特に注目していなかったのでどのような報道がされたか見逃しました。

このような消しゴムがきっかけで、小、中、高校生の歯科への関心が高まれば良いですね!

次回からは、線維筋痛症の話題に戻ります。

線維筋痛症4

昨日、今日と梅雨の合間のまずまずの天気でした。

さて私の医院で経験した線維筋痛症の患者さんです。
1人目の患者さんY.K.さん女性35歳 初診2013年8月
患者さんの話では、
◎10年前から顎がガクガク音がして、真っ直ぐ開けられなくなった。
◎噛み合わせを診断する器械があるという宣伝で、さいたま市の歯科医院を受診
●2010年から同院で、スプリント装着(下顎を前に出すため)
●スプリント治療後に、開口時、閉口時のクリック音がしたが、金属を外してプラスティックに置き換
える
●左下奥の噛み合わせが低い歯に合わせて全体を咬合調整
●右の歯を削っているときに、左に顎を動かしたら顎がバキバキと音がして、それから噛み合わせ
がおかしくなった
●左の顎も痛くなってきた。頭蓋が動いているのを感じるようになった
◎T歯科大学病院・口腔外科受診 特に治療なし
◎神奈川県の顎関節症治療センター受診
●頭蓋骨矯正+整体+下顎前歯の調整

●左の関節に痛み
●体の方々に変化 嚥下困難+しびれ+腰痛+肩こり+手足のしびれ+左目の奥の痛み+耳閉感
◎眠れなくなったので(一日一時間)、メンタルクリニックで、抗うつ薬と睡眠薬を処方
◎T医大でレントゲン検査 レベル3と言われた 多分、顎関節症Ⅲ型
◎総合病院口腔外科受診 咬合は異常なしという診断
◎新宿の顎関節症治療専門歯科医院で相談
◎2013年8月当院受診
●CT、MRI撮影 診断結果は復位性関節円板前方転位
治療を試みるが、スプリントを入れてられないので、治療を断念

次回も線維筋痛症について触れ、考察を加えていきます。

2012年6月15日金曜日

線維筋痛症3

今日は、孫が上海から夏休みで帰ってきました。
背も大きくなり、少し成長したようです。
上海ではインターナショナルスクールへ通っています。うまくいけば中国語と英語がマスターできるという親の魂胆のようです。さて、うまくいくでしょうか?????

線維筋痛症の続きです。
線維筋痛症患者さんの67%強は、顎関節症の症状があるとも言われています。また24%以上が歯科治療が、きっかけになって線維筋痛症を起こしたという報告もあるようです。

私の医院で拝見した線維筋痛症患者さんもお2人とも歯の治療からスタートし、復位性関節円板前方転位でした。

あなたの医院にも、線維筋痛症患者さんが来院したか、来院する可能性があります。

一般医の1/4しか、この病名を知らないということです。
病名も、治療法も分からず痛みに耐えるしかないというのは切ない話です。
せめて、あなたが診断してあげれたら・・・・・・・

2012年6月14日木曜日

線維筋痛症2

今日は梅雨の合間の晴天でした。湿気もあまり感じず、この季節にしては快適な一日でした。

樹齢100年を誇る我が家のザクロです。

前回に続き、線維筋痛症の話題です。

Medicine.net.com のHome Page よりコピー

アメリカリュウマチ学会の定義によりますと、
①上記の18の「圧痛点」を4㎏の力で押したときに11ヵ所以上に痛みを感じること。
②痛みが継続的/断続的に3ヵ月以上続いている。
ということです。
患者さんは痛み以外に、さまざまな症状で苦痛を感じます。

次回から実際に私が経験した患者さんの状況をお知らせします。

2012年6月13日水曜日

線維筋痛症1

今日は梅雨にしては、庭に出てみようかと思うまずまずの天気でした。

我が家の額アジサイです。
やはり、梅雨時はアジサイがきれいですね。

皆さんは、線維筋痛症という病名をご存知ですか?またこれに罹患した患者さんに遭遇されたことがありますか?

2007年に43歳で亡くなった日本テレビの元アナウンサー・大杉君枝さんは、この病を苦に自殺したと報道されています。

意外に、歯科との関係が深い疾患です。
私は、過去に2人の患者さんを経験しています。

次回から線維筋痛症と顎関節症との関係について書いていきたいと思います。

明日は梅雨の合間の晴天、ゴルフが楽しみです。


顎関節症 疼痛5

5月29日のブログ 顎関節症 疼痛 で取り上げた患者さんが今日お見えになるはずでしたが、来週に変更になりました。
今日は、患者さんから経過をお聞きして続編を書く積りでしたが・・・・・・
ずっと疑問に思ってきたことは、なぜ平衡側の干渉が、頤(オトガイ)部に疼痛をもたらすか?ということです。
画像をクリックすると拡大されます
PROMETHEUS
Head and Neck Anatomy for Dental Medicine よりコピー

平衡側の咬合干渉の患者さんで経験するのは、食後に頭を抱え込むような咬筋や側頭筋の痛みです。なぜ、通常経験するのと異なる部位に疼痛が生じたのでしょうか?
同じ下顎神経の支配領域です。
ヒョトしたら、関連痛かもしれません。
私が勉強不足で知らないだけかも分りません。
どなたか、同じ経験をしたことがある方がいらっしゃれば教えて下さい。
メールアドレス 6480tanaka@gmail.com
よろしくお願いします。
どなたか、

2012年6月11日月曜日

顎関節症の診断

今日の朝一の患者さんは左の顎関節に往復性(開口時と閉口時)のクリックがあり、左の顎関節に軽度の痛みがある患者さんでした。開口量は問題がありませんが、開閉口路が乱れます。
症状から判断して、復位性関節円板前方転位が疑われます。

このようなケースでは、確定診断のためにMRI とCT を撮ります。いずれの装置も私の医院にはないので、メディカルスキャニングhttp://www.medicalscanning.net/に撮影をお願いします。
MRI像では、関節円板の形や側頭骨下顎窩、関節円板、下顎頭の相対的な位置を診断します。
CT像では、側頭骨下顎窩、下顎頭の変形などを主に診ます。
MRI像の読影は慣れても難しいので、私の医院では日本大学松戸歯学部放射線科教授・金田隆先生にお願いしています。

日本では聞いたことはありませんが、歯科でCTやMRIを撮ったのに撮影領域に入っていた耳鼻科領域などの疾患を見落としていたということで、訴訟の対象になったことがあるという話を聞いたことがあります。

MRI、CTを撮影するからには、それ相応の読影力をつけておきたいものです。
いずれ日本でも、難しい問題が生じる可能性があります。
ということで、8月11日12日に開催する私のセミナーでは金田先生を講師にお迎えして読影力がつくお話をお伺いします。
時間のご都合のつく先生は、ご参加下さい。セミナー案内は以下のURLをご覧下さい。
http://www.kamerukameru.com/images_mt/seminar_201208.pdf

2012年6月9日土曜日

変形性顎関節症

今日から水、木の矯正セミナーから普段の診療に戻りました。

今日は4月下旬から見えているTさんが見えました。

TさんのCT画像です。

右の下顎頭は骨瘤状の増殖、左は吸収が見られます。
変形性顎関節症に分類されます。
私が頼りにしています日大松戸放射線科・金田隆教授のご意見では、リューマチの疑いもあるといことでしたので、リューマチの検査をしてもらいましたが、リューマチは(-)でした。

患者さんは右の関節部に痛みがるということでしたので、とりあえずスタビライゼーション型のスプリントを入れました。
朝は楽なような気がするが、夕方には痛いということです。

いずれにしても右も左も経時的にどのように変化しているのかを診る必要があると思いました。
友人の突然死の影響で、脳のMRIも撮ったことがあるということでCDを見せてもらいましたが、顎関節は映っていませんでした。

5年ほど前に、めまいがありメディカルスキャニングで耳鼻科受診してMRI(?)を撮ったということでしたので、13日に金田先生に、可能であれば今回の画像と比較してもらうことにしてあります。

こんなケースは初めてなので心配ですが、何とか患者さんのお役に立ちたいと思っています。


2012年6月7日木曜日

信頼の構図3 Dental Missionary

昨日、今日と矯正のセミナーでした。矯正を本格的に学ぶのは初めての経験です。
久しぶりの実習に、若い先生方についていけるか心配でしたが講師やスタッフに助けられ何とかこなすことができました。
疲れたぁー・・・・・・・


さて、前回の続きです。

患者さんが、治療結果や接遇を含めた感覚値が満足レベルを超え魅力レベルまで達したとき感動を覚えます。
この魅力レベルまで達した患者さんは、これを家族や友人、知人に伝えてくれます。このような自分の歯科的な高いレベルの体験を他の人に伝えてくれる人を歯科の伝道者(Dental Missionary)といいます。歯科の伝道者に、紹介された患者さんがまた歯科の伝道者になってくれると、その歯科医院は高いデンタルIQを持った患者さんで満たされることになります。
この歯科の伝道者を得るには、どうすればよいかは次の図を参考に考えて下さい。

各ステップで、魅力レベルに達することが肝心です。

次回からは、顎関節症の話題に戻ります。

2012年6月6日水曜日

信頼の構図2 退出コスト

患者さんの不安を安心に、不信を信頼に、不満を満足に、不平を称賛に変えていくには1つのルールがあります。
それは、患者さんの期待値をはるかに越えることで、達成することができます。

画像をクリックすると拡大されます。

この図には、考えるべき様々な要素が満載されています。
何回かにわたって、この図を掲載し解説していきましょう。

例えば、歯の痛みを抱えた患者さんが、あなたの歯科医院を初診で訪れたとき、患者さんは10という程度の痛みであれば、少なくとも5という程度までの痛みの軽減を期待しているかもしれません。これは、患者さんの経験や体調、仕事の都合などの環境によっても期待値が変わってきます。
実際に患者さんが来院して感じた感覚が感覚値です。
痛みを0にしてくれるだろうと期待している患者さんに対して9割の痛みしかとれないときは1という不満値が残ります。この1という不満値が残ったとしても、事前に痛みが止まるメカニズムを説明され、なぜ1という痛みが残るかの説明を受けた患者さんの感覚値は10になる可能性もあります。
その患者さんの期待値は、あらゆる場面にあります。例えば、歯医者のトイレだから奇麗だろうと入ってみたら不潔感を感じたとか、すぐ診てもらえると思っていたが待たされたとか・・・・・様々な場面で期待値があり、感覚値があります。
期待値より感覚値が低いと、患者さんはがっかりし不満を感じます。不満を感じた患者さんは、すぐにその歯科医院からいなくなるかというと、そうではないのです。
そのような患者さんは、次に行く歯医者さんで、また一から問診され、場合によってはレントゲンをまた撮られたりという余分なことを強いられるかもしれません。それを退出コストといいます。
この退出コストを考えても感覚値が低い場合は、その歯科医院から去ることを考えます。
患者さんが来続けているからといって、満足しているとは限りません。

次回は Dental Missionary について解説していきます。

今日は、これから矯正の講習会に出かけます。
関節円板転位が復位したケースでは矯正が必要になるケースが多く、咬合を管理しながらの矯正処置が必要になります。
矯正を本格的に学んだことがないので、楽しみです。

2012年6月5日火曜日

信頼の構図1

私たち歯科開業医は、ただ「自分の技術を磨き十全な歯科医療を心がけ実践すればよい」というものではありません。
ときには患者さんにとっては、つらい選択をしてもらわないといけない場面もあります。また常に治療費については、いつも頭を悩ませます。
こと、歯科医療について不信感を抱いている患者さんとのコミュニケーションは苦心します。
このような患者さんの構図は、つぎの図によく表れていると思います。


患者さんの心は、不満、不信、不安、不平で串刺しにされています。
この不満を満足に変え、不信を信頼に、不安を安心に、不平を称賛に変えることが歯科医に求められています。

では、どうすれば・・・・・・・・
次回からをお楽しみに。

2012年6月4日月曜日

顎関節症の治し方 失われた8年5

4月23日から4回にわたって失われた8年というタイトルで紹介した山梨県からお見えの3つの大学病院と10軒以上の歯科開業医を訪れた患者さんのその後の治療の進捗状況をお知らせします。

3Dスプリントで決定した下顎位で、頸や肩のすべての症状が解決しました。

その後の治療計画は、いたって単純で抜けている歯を補綴し全顎の咬合を確立すれば完了するということです。
右下は、咬合の確立という目的からはインプラント補綴しか選択肢がないという結論に至りました。

しかし8年間にわたって増殖し続けてきた歯科医師への不信感は、簡単には拭い去ることはできません。インプラント治療に関しましては、ほとんどの患者さんで少なからず不安や不信があります。
特に、このような患者さんでは、ひどい拒否反応を示すものです。
経済的にも高額になります。しかし、何とかこの問題をクリアーしてもらわなければなりません。


二週間前にインプラント専門医による埋入手術が完了しました。

先週金曜日にインプラントの経過を診せてもらいました。
この人が同一人物かと思われるほど、ニコニコ顔でした。「インプラントの手術後の痛みや出血もなく、予想していた症状が何も起こらなかった」そうです。

これかの治療は、スムースに行くことを願っています。失われた8年の回復のために・・・・・・

山梨県歯科医師会の弁護士(?)が、「事情を聴きに来ることがあるかもしれないので、よろしく」ということでした。

次回からは、この不安感、不信感などの構図や解決のヒントについて述べていくようにしましょう。
という訳で、顎関節症については少し離れた話題になります。

2012年6月1日金曜日

顎関節症 疼痛4

またまた続編です。

火曜日にペインクリニックから頤部(オトガイブ)の疼痛が8年も続いているということで、紹介されてきた患者さんです。

火曜日(初診日)に犬歯誘導を付与したスプリントを、装着しました。
初診時の疼痛レベルを10とすると、水曜日の段階では5という回答でした。果たして今日(金曜日)は、どうなったのでしょうか?何と3でした。

そして、スプリントを装着後に変化したことは
①歩く度にオトガイ部に感じていた疼痛が軽減されたので、火曜日の診療後には嬉しくなって歩き
過ぎて帰宅が遅くなり、帰ったらぐったりと疲れていた。
障害児と過ごす仕事をしていたが、痛みのため障害児と同じスピードでしか歩けなかった。
②左の視野が狭くなった気がするが、見やすくなった。
③臭いが、分かるようになった。今までバラの臭いなどが分からなかったが、感じるようになった。
④コメカミあたりが、スッキリした。
⑤意欲が湧いてきた。
⑥水曜日に感じていた後頸部の痛みはなくなったが、軽い肩こりがある。

画像では、よく確認できませんが、両犬歯とも中心咬合位では
接触していません。側方運動では平衡側に干渉があります。

初診日に装着したスプリントには、犬歯誘導を与え、平衡側干渉がないように調整しました。

今日(2回目のアポイント)は、全顎のレントゲン撮影、スタディモデルの印象採得をしました。
プラークコントロールなどの問題はありますが、次回のアポイントでは、とりあえず両犬歯に一時間ほどかけてテンポラリークラウンを装着し、疼痛を“0”にして、7月の教員採用試験に臨むように勧めました。

「たかが噛み合わせ、されど噛み合わせ」ですね!
患者さんの噛み合わせを担当する怖さを思い知らされたケースです。

この患者さんの後日談は、またお知らせします。
今日は、5時半に起きて(ただ、年をとったので早く眼が覚める)解剖の本を紐解きました。
患者さんの痛みはオトガイ神経の支配領域でした。(「そんなことも今更、解剖の本を読まないと分からないのか」と自分を叱っています。)
なぜ、平衡側の干渉がオトガイ神経の支配領域に痛みをもたらすのか?という謎解きもしてみたいと思います。