2012年3月30日金曜日

咬合の捉え方2

昨日の那須連山です。

歯科医師は、広い視野と深い知識に支えられなければならない。というのが、前回のお話です。
ものごとの捉え方によって、歯科医師も3つに分けることができるわけです。

Dentistry is occlusion.
といわれるように、咬合が歯科を決すると言っても過言ではありませんが、その割に、おろそかにされています。
これには、いくつかの理由があるのでしょう。この理由については、後程触れることにします。

咬合の捉え方も、広い視野と深い知識が必要です。咬合の捉え方にも、つぎの3つがあります。

Tooth based occlusion
これは、歯の形態や接触状態だけを見て、咬合を論じようとする考え方です。

Joint based occlusion
これは、ちょっと視野を広めて歯と顎関節を含めて、咬合を論じようとする考え方です。

Muscle-skeletally based occlusion 
これは、全身の筋骨格を含めて、咬合を論じようとする考え方です。

詳細については、次回に・・・・・・・

2012年3月29日木曜日

咬合の捉え方

お早うございます。

那須の今朝の日の出です。
朝日と夕日は、画像ではどう違うのでしょうか?

今回は、咬合の捉え方についてお話しします。

Dr. Pankey は、歯科医師を3つに分類しています。

Tooth Dentist
Mouth Dentist 
People Dentist 

Tooth Dentist は、歯のみを見る歯科医師
Mouth Dentist は、口の中全体を視わたせる歯科医師
People Dentist は、歯や口を持った人として診ることができる歯科医師

です。

したがって、People Dentist は患者さんの人としての尊厳を大切にし、自分の歯科医師としての尊厳を失わない生き方を選択します。
患者さんと歯科医師の関係は、互いの人としての尊厳をベースにした相互尊重(mutually respect)のお付き合いができる歯科医師ということになります。

中国では、大医、中医、小医という表現もあります。

さて、このような歯科医師の分類と咬合はどのような関係があるのでしょうか?

次回のお楽しみに・・・・・

2012年3月28日水曜日

咬合調整

今朝の茶臼岳を中心とした那須連山の様子です。
今日は、暖かい晴天が期待できそうです。

今回も前回に続き、咬合調整について触れます。

上の写真は、全顎の咬合調整に使用した咬合紙の量を示しています。
赤い咬合紙は中心咬合位の調整に使用します。
この他に側方、前方などの調整にはグリーンの咬合紙を使用しますので、
かなりの量(枚数)の咬合紙を使用することになります。
手際よく行わないと長時間かかりますので、アシスタントの熟達も必要です。

画像をクリックすると拡大されます。

さて、皆さんはどんな咬合紙をお使いですか?
薄ければ薄いほど良いのですが、マークの着き具合などが微妙に違ってきます。
インクの質、インクをシートに接着させる接着剤の厚さ、質などの問題もあります。
私は、ハネル社(輸入元・茂久田商会http://www.mokuda.co.jp/)の12ミクロンの片面を使用しています。
咬合紙選択で、一番重視しているのはインクの抜け具合です。マークは参考にしますが、絶対信用する訳ではありません。
咬合紙を透かして見ることが、咬合調整を成功させる秘訣だと考えています。

という訳で、咬合紙選びは日常のインレー、クラウン,ブリッジ、義歯などの咬合治療を成功させるキーになります。
特に、歯根膜という緩衝装置を持たないインプラント上部構造の咬合位の決定と、この位置での正確な調整が必須のものになります。

国産では8ミクロンの咬合紙が発売されていますが、マークが着きにくいという欠点があります。残念ながら、国産では使い物になる咬合紙はありません。
GC社で、新規に開発していますが試作品で止まっているようです。

では、また次回に・・・・・・

2012年3月27日火曜日

顎関節症、咬合違和感を発症させないために

今回はちょっと趣を変え、いままでお話してきた顎関節症咬合違和感を起こさないために日常の臨床で、どのように取り組んでいるかをご紹介したいと思います。

何だ、こんな簡単なことは既にやっているよ!という方もいらっしゃるでしょう。

画像をクリックすると拡大されます。

5にジルコニアクラウンをセットした時の写真です。
① テンポラリークラウンを除去したら、グリーンの咬合紙をグット噛んでもらってマーキン  グしておきます。
② クラウンのマージンと隣接面の適合をチェックします。つぎに、クラウンを入れた状態で
  赤い咬合紙でグット噛んでもらってマーキングします。
  通常、少し咬合の高いクラウンができていますので、赤丸の部分のマークのように中央が  抜けたドーナツ型のマーキングを確認することができます。
  この部分を調整していきます。
③ 最初のグリーンのマークと赤いマークが一致するまで調整して終わります。
④ さらに、側方運動、前方運動、側前方運動。後退位での干渉を取り除いて調整を終わりま  す。

もちろん、このような操作を行う前提条件として、患者さんに顎関節症や咬合違和感がないことを確認しておかなければなりません。

オヤスミナサイ!



2012年3月26日月曜日

驚異の3Dスプリント10

東京は、ちょっぴり寒い朝でした。明日からは暖かくなるということです。期待しましょう。

今日は、前々回の豊洲の歯科医院でのセミナーの続きです。

ということで、10名の受講生の中から患者さんを探すために咬合機能テストを実施しました。
U先生は、体格の良い34歳の男性歯科医師です。
咬合機能テストではグッと噛んだ時には、水平にした腕がどんなに力を入れてもヘナヘナと下がります。そこで、患者さん役を務めてもらうことになりました。
早速、U先生の3Dスプリントを30分ほどかけて口腔内で作りました。

3Dスプリントを入れた途端、「こんなに肩や首がすっきりしたことはない」という感想をもらしていました。治療後、居酒屋で食事をしようということになり、歩き出した途端、「楽に歩けるようになった」と驚きの表情で話していました。食事中も装置を出したり入れたりして不思議そうに眺めていたのが印象的でした。この装置を毎晩入れてもらうことにしました。


この写真はU先生の口の中の写真です。
13歳のときに、右上の第一大臼歯にインレーを装着しました。写真でお分かりのように、治療してあるのはこの歯1本だけです。自宅近くの「治療がうまい」という評判の歯科医院で治療を受けました。このインレーは歯との段差もなく申し分のない適合状態です。
治療直後“かみ合わせ”が高い気がしたので、そのむね歯科医師に訴えたのですが「2,3日で慣れますよ」ということでした。
たしかに、2,3日で高い感じが消えました。しかし、その後の20年間は「いくら寝ても疲れがとれずヒマさえあれば寝てばかり」「首や肩の凝りがひどくマッサージに通っていたが揉み返しがきつく、かえって辛くなるのでマッサージにも通えなかった」「新宿の伊勢丹から高島屋までの、わずかな距離(400メートル)でも歩くのがつらくついついタクシーに乗ってしまう」「午前中はまだしも午後になると疲れが出る」という状態が続きました。
体調不良が続きましたが、原因が分からず治療をあきらめていたということです。

一週間後に“3Dスプリント”で修正された下顎の位置で口を閉じてもらいますと、右のインレーを入れた歯が最初に接触しました。修正された下顎の位置で“かみ合わせ”をわずか数ミクロン調整しました。筋骨格安定位 が得られたということです。
 


治療後は20年間悩んでいた歩行困難などの前述した症状はすべて消え、「熟睡できるようになったので、睡眠時間も短くて済むようになり夜遊びの時間が増えて困っている」ということです。U先生の治療回数は3回、合計治療時間1時間半たらず、治療期間は10日間で終了しました。

このケースでは、2,3日で慣れますよという間に関節円板偏位が起こったのです。
患者さんが咬合違和感を訴えたときに数ミクロンの咬合調整を行っていれば、U先生の人生も変わっていたのかもしれません。

関節円板偏位が引き起こす様々な症状に悩む患者さんは、大勢います。これらの患者さんは整形外科、心療内科、整体院などを渡り歩きます。すなわちドクターショッピングを続けるわけです。
ほとんどの歯科大学などの専門の医療機関でも、関節円板偏位の正体を見抜くことはできません。

ひょっとしたら、このブログを見た人だけが関節円板偏位の正体を見抜くことができるのかもしれません。




2012年3月24日土曜日

番外編

東京は朝から雨模様です。夜まで降り続くようです。
土曜日ですが、ちょっと診療の時間が15分ほど空きましたので簡単な番外編をお届けします。

2月17日と2月28日にアップしました復位性関節円板前方転位を修正するスプリントを入れた仙台のKさんと秋田県能代市の小西さんからメールが届きましたので、転載させていただきます。

Kさんからのメール

お世話になっております。Kです。
その後ですが、痛みはもうほとんどありません。現在は、最初に作った上下がくっついてるマウスピースをつけて夜寝ています。
クリック音は、朝が一番大きく鳴り、その他の時間帯は気にならない日がほとんどです。ただやはり、疲れていたりすると、調子悪いです。
先日の日本大学の先生の診断結果を見て、治らないのかと不安ですが、今後も田中先生のところで治療をしていただきたいと思っています。私自身も努力していきすのでこれからもよろしくお願いします。
4月3日もよろしくお願いします。青山田中歯科の皆様 お世話になります。


小西さんからのメール

スプリント装着して、まもなく1ヶ月になります。
現在の感想です。
①後頭部にあるデブの証(横しわ)が少し延びてきました。消えて無くなりそうですが、まだあります。
②首の痛み、肩こり、手のしびれ すべて消えました。
③朝起きてスプリントを外したとき、上下の歯が、部分的にぶつかります。
④上顎左側の歯列が内側へ寄っているような感覚で、舌に引っかかって出血します。
上顎左側を外側へ押し開くことが出来れば良いのかなと思います。
口を開け閉めした時の音は未だ鳴ってますが、痛みも無く快適です。
何よりも後を振り返るとき体が楽で、全体に動きがスムーズになりました。
イメージとしては自然に体が真っ直ぐになって、関節が柔らかく延びているような感じです。
今後の変化が楽しみです。
有難うございます。
小西浄二

Kさんは4月3日に、小西さんは1か月後に約束しています。また経過を報告します。

2012年3月23日金曜日

驚異の3Dスプリント9

今日は咬合違和感についてお話ししましょう。

神奈川歯科大学の玉置先生は、咬合違和感の症状として以下の項目を挙げています。

●咬み合わせが不快だ
●上下の歯がうまく咬み合っていない
●どこで咬めばいいかわからない
●咬み合わせがズレた感じがする
●咬み合わせが安定しない
●咬み合わせがねじれる感じがする
●上下の歯を咬み合わせることができない
●咬み合わせると斜めに当たる
●左右の当たり方が違う
●当たる場所がおかしい
●当たると不快、痛い
●強く深く咬み込んでしまう
●咬み合わせが低く当たらない
●歯列の幅が広く(狭く)感じる
●歯が内側(外側)に傾斜している

このような、訴えをお持ちの方は大勢いらっしゃいます。
このブログの読者の中にも、思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。

このような患者さんの上下の歯の接触関係をいきなり診ても、異常は見当たりません。ほとんどの症例が関節円板偏位に分類される症例です。すなわち3Dスプリントの適応症です。

3Dスプリントを装着し、側頭骨下顎窩・関節円板・下顎骨下顎頭の関係が筋骨格安定位に戻るのを確認してから、咬合の診査を行います。


豊洲でご開業の先生から、「私の医院の先生方に咬合の話をしていただきたい」という依頼を受けました。そこで10名の歯科医師を対象に実習を含めたセミナーを開催しました。

この種のセミナーでは、まず患者さん探しから始めます。
二人でペアーを組んでもらい、次のようなテストを行います。


1人は検者、他の1人は被験者になります。
被験者は腕を水平に保ち、グッと噛みしめます。検者は被験者の腕を押し下げます。
つぎに、被験者は口を開き(上下の歯を接触させない)、検者は同じように腕を押し下げます。
グッと噛みしめた時と、口を開いたときの腕の抵抗の強さをみます。
咬合に問題がない場合は、グッと噛みしめた方が力が入り、腕を水平に保つことができます。
このテストを、咬合の機能テストと呼んでいます。

咬合違和感を訴える患者さんのほとんどは、このテストでグッと噛んだ時の方が明らかに腕の抵抗が低くなります。ぜひ、一度試みて下さい。

10名も受講者がいますと、1人、2人はこのテストに引っかかってくる方がいます。このセミナーでも、患者さんを見つけることができました。
この患者さんの、3Dスプリント作製のデモからセミナーを始めました。

続きは、次回のお楽しみに・・・・・・・・

2012年3月22日木曜日

驚異の3Dスプリント8

今日の午後は17度になるということで期待していましたが、あまり気温が上がりませんでした。
しかし、春の訪れを感じることができる一日でした。

庭の梅もやっと満開を迎えました。


今回は引き続き3Dスプリントの話です。

3Dスプリントを最も適応したい症例は、関節円板偏位です。

以前、紹介した Okeson の分類では関節円板偏位という病名が明記されてされていますが、具体的な治療法が説明されていません。

下の表は、日本顎関節学会が1996年に提唱した分類です。


この分類には、関節円板偏位は、欠落しています。

Okeson のManagement of Temporomandibular Disorders and Occlusion は1996年から現在まで、3回改訂されています。といことは、この間に新しい知見が出ているからでしょう。

日本顎関節学会でも、この分類を早く改訂し関節円板偏位を、分類に加えるべきです。

というのは、前にも書きましたが、関節円板転位がいきなり発症するのではなく、関節円板偏位
経過して関節円板転位が発症します。
関節円板転位を治すには、患者さんも術者も長い期間と労力を費やす必要があります。それに引き替え関節円板偏位は、比較的簡単に治すことができます。
咬合違和感」などの関節円板偏位の症状を見逃すことなく、早期に処置することが望まれます。

次回は「咬合違和感」を話題に取り上げます。


2012年3月21日水曜日

驚異の3Dスプリント7

3Dスプリントの適応症の代表的なものは、関節円板偏位です。

関節円板偏位を2つのタイプに分けることができます。

1つは、前回お話ししました3Dスプリントを装着すると、即時か1週間以内に下顎頭が筋骨格安定位に戻るケースです。これを、私は即時復位性関節円板偏位と呼んでいます。

もう1つは、暫時復位性関節円板偏位と呼んでいますが、3Dスプリントを装着し、1週間以上経たないと下顎頭が筋骨格安定位に戻らないケースです。

病名を複雑にしないように関節円板偏位と呼んでいますが、当然、関節円板の歪(ヒズミ)という現象が同時に起こっています。

では、暫時復位性関節円板偏位のケースを紹介します。
筋骨格安定位に戻るまでに、1ヶ月を要しました。

画像をクリックすると拡大されます。
3Dスプリント装着1ヶ月で体の左右の歪み(ユガミ)がとれました。

初診時に、患者さんが装着していた装置です。
この患者さんが通院していた医院では、どんな患者さんでもこの装置を入れるようです。
この患者さんの場合は、歯の「すり減り」を防止するために入れた装置です。
これだけの開口量があると、口呼吸を誘発することになりかねません。
下顎に付けたプラスティック製のネジを回して左右の高さを調整するそうです。
特許を取っているのが、ご自慢ということです。
しかし、このネジの位置より後方に側頭筋や咬筋がありますのでネジが支点になって
下顎頭を下顎窩に押し上げますので、顎関節症増悪器になりかねません。
この患者さんは10年間この装置を入れていたそうです。
関節円板前方転位に至らなかったのは、咬合高径が挙がりすぎているのが幸いして
咬合力が大きく加わらなかったためでしょう。

私の医院で入れた3Dスプリントの正面観です。
初診時に入っていたものに較べ、小さな装置で違和感が抑えられています。

3Dスプリントの咬合面観です。

左は初診時の正面観です。「左で噛めない」というのも患者さんの訴えの1つでした。
右は咬合調整後の正面観です。左側の接触状態も改善されています。
適正と思われる犬歯誘導、前歯誘導を与えました。その結果、
審美的にも改善されているのが分かります。
「歯ぎしりがなくなった」そうですが、Bite Strip やGrnd Care で確かめていません。
犬歯は削合したのみです。来週、セラミックで修復します。




聖高原

20日の春分の日を利用して、麻績でおこわれた法事に行ってきました。
真夏のような暑い宮古島から一転、冬景色の中へ・・・・・

麻績と言っても分からない方ばかりだと思います。最寄駅は、長野市と松本市の中ほどにある篠ノ井線の聖高原駅です。昔は麻績駅だったのですが、名称が変わりました。中央道の麻績インターがあり、車で行くのが便利です。
北陸から長野善光寺への参詣の前泊地で、古い宿場町でした。今はこれと言って特徴のない村です。

村では、聖高原にある村立の博物館をリニューアルしています。家内の実家にある資料を展示したいということで、リニューアル中の博物館を見に行ってきました。

聖高原には、スキー場もあります。空いていて穴場ですよ。ぜひご利用を。
聖湖です。奥にある山がスキー場です。
夏は釣り客やボート遊びのお客さんで賑わいます。
お盆休みの「湖上花火大会」は圧巻です。

2012年3月19日月曜日

驚異の3Dスプリント6

宮古島ボケですが、診療は頑張ってきました。

今日は、嬉しいことがありました。非復位性の関節円板前方転位の高校生(正確には4月からの大学生)が、初診時17ミリの開口量が今日は42ミリに変身し、本人、お母さんとも大満足でした。
この治療法の秘密は後日ブログで紹介します。

宮古島では、今はタクシーに乗るとクーラーがかかっているのが普通の生活が、東京では炬燵生活です。このギャップ何とかなりませんかね!

関節円板偏位に話を戻しましょう。

関節円板偏位は2つのタイプに分かれます。1つは、3Dスプリントを装着すると即座に下顎頭が筋骨格安定位に戻るケースです。

画像をクリックすると拡大されます。
このケースは23才の美容師さんです。装置を入れると同時に下顎頭が
生理的な位置に戻り、体の歪みが治っているのが分かります。

私は、男子は床屋さん、女子は美容院に行くのが常識と思っていた旧式人間です。あるとき。私が通っていた床屋さんに何度も電話したのですが通じませんでした。髪の毛も長くなり、夏場でもあり「鬱陶しく我慢できない」とグチをこぼしていたら、娘が「私の行っている美容院は、男の人も大勢来ているよ」という新しい情報で、新式人間になるべく、さっそく美容院へ。

このとき出会ったのが、イケメン美容師・木村君です。彼は群発頭痛に悩まれていました。色々な病院を巡り、一縷の望みを持って私の医院に来院しました。
群発頭痛という名前すら知りませんでしたが、全身写真で体の歪みが確認できましたので、この歪みが原因かも?ということで3Dスプリントを装着しました。即、体の歪みが治り「何かいい感じ」ということになりました。

この顛末や、頭痛と顎関節症の関係は後日ということで・・・・・・

明日は、信州で法事です。6時半に家を出ます。
もう眠いので  おやすみなさい。

2012年3月17日土曜日

宮古島

木曜日早朝から宮古島へゴルフ旅行に来ています。

木曜日、金曜日と予報では雨模様でしたが、好天に恵まれゴルフを楽しんでいます。日焼けが心配です。

ということで、今回は宮古島の景色をご覧下さい。

一般の観光客があまり訪れない「ムイガー」というところです。宮古島は水が豊富で、
特に、ムイガーの名水は有名です。
オーシャンリンクス宮古島(ゴルフ場)http://www.ocean-links.co.jp/hから望む吉野海岸
ここは、宮古島を代表する海水浴場です。この時期でも泳げます。
東平安岬(ヒガシヘンナミサキ)
宮古島の観光スポットNo.1
よく見ると岬の先端に燈台が見えます。
10年以上にわたって、この時期に宮古島を訪れています。
毎年お世話になっている俊坊です。
彼は友利部落では一番の素潜り名人です。
彼が非番の日に採ってくれた6〜70㎝もある伊勢エビや胡椒鯛などの
魚介類を奥さんが、海岸に運んできてくれるプロパンガスのコンロで
調理し、冷えたビールと泡盛での宴会は格別です。
宮古島でタクシーをご利用の際は太平タクシー
下地俊博さん(Tel. 090-3790-5072)または石垣裕和(Tel. 090-1943-2666)がお勧めです。
宮古島では、欠かせない「宮古そば」と「ソーメンチャンプル」です。
ゴルフ場のシェフはイタリア料理の専門家ですが、無理を言って
チャンプルを作ってもらいます。上に見え隠れしているのが
チャンバラ貝です。これも俊坊が採っておいてくれたものです。

あと2日滞在しゴルフをしますが、晴天になるように・・・・・




2012年3月15日木曜日

驚異の3Dスプリント5

今日から3泊4日で、宮古島へゴルフ旅行に出かけます。
遊びに出る前にブログをアップすために、日付が変わるのを待って書いています。あと5時間ほどしたら羽田に向かいます。

大分、3Dスプリントの話も進んできました。
今回は3Dスプリントの適応症について書いていきます。


画像をクリックすると拡大されます。
拡大してもよく見えませんかね?

上の表はOkesonのTMDの分類です。英語では顎関節症に相当する語句はないそうですが、TMD(Temporomandibular Disorders)が一番近い用語だそうです。
この分類の中で赤枠で囲んだ関節円板偏位が3Dスプリントの適応症となります。また関節円板偏位によって起こっている咀嚼筋障害も適応症に含まれます。

この表だけを見ると、「3Dスプリントの適応症は狭い範囲で、大して役に立たないのではないか」と思われるかもしれませんが、復位性関節円板転位や非復位性関節円板転位は、関節円板偏位の病状が進んだ結果起きます。
言い換えると、関節円板偏位の段階で治しておけば、関節円板転位は起きないということになります。この他に顎関節の構造的不適合や顎関節の炎症性障害も関節円板偏位の段階で治すことによって予防できる可能性もあります。

歯科医が関節円板偏位を、確実に治せることができ、患者さんに関節円板偏位の段階で治すべきことを知ってもらうことによって、治らない顎関節症を作り出す機会が激減することになります。

ちょっと難しい話に差し掛かりましたが、今回が一番お堅い話になりますので、今後共お付き合いのほど、よろしくお願いします。

何か私の説明が解かりにくかったり、もう少しこんな内容でというご要望、ご批判、感想がありましたら 6480tanaka@gmail.com  までメール下さい。待ってます。

次回は碧いサンゴ礁の写真がアップできるのでは・・・・・と期待していますが、沖縄は雨模様のようです。テルテル坊主さんよろしく!

2012年3月14日水曜日

驚異の3Dスプリント4

いつもは、このブログを夜中にアップしていますが、昨夜は早めに床につきましたので今日は朝に書いています。

昨日は、以前 私の医院に勤めていた衛生士からコメントをもらいました。色々な人に見ていただいているのだな!と驚きました。もっともっと多くの人に顎関節症の実態を知ってもらいたいと思います。

と いうのは、現在の歯科医学で治る顎関節症治らない顎関節症があるからです。治る顎関節症を放置しておくと、治らない顎関節症に至ります。
このことを、多くの医療関係者をはじめ、一般の顎関節症患者さんになる可能性のある方に知ってもらいたいのです。

顎関節症の原因のほとんどが、“かみ合わせ”です。
“かみ合わせ”が原因で起こっている顎関節症は、治る段階であれば(早期に処置すれば)3Dスプリントで2~3日で治すことができます。
3Dスプリントの適応症については、後日お話しします。

今回は、3Dスプリントの作り方(形体の与え方)とメカニズムについて触れていきます。


上の図は、3Dスプリントのメカニズムと、形体の与え方を説明したものです。

“かみ合わせ”が原因で起きる顎関節症の97~98%は、関節窩に対する下顎頭の位置が生理的な位置(筋骨格安定位)からズレる(変位する)ことから始まります。
このズレ(変位)を修正し、生理的な位置(筋骨格安定位)に戻すのが3Dスプリントの働きです。

上の図を眺めると お分かりいただけると思いますが、一番の要点は上顎舌側に与えるフラットな面の傾斜です。この傾斜を、下顎頭の回転の中心(赤点)から、上顎舌側の平面を結んだ線(赤線)に合わせることによって、下顎頭を生理的な位置に戻すことができます。
ほとんどのケースでは、下顎頭が後上方に変位していますので、これを修正するために上顎舌側に設ける平面の傾斜を、わずかに水平に近くするのがコツです。

3Dスプリントは、装着直後に効果を発揮する場合もあります。
いずれのケースも効果の発現が早いので、顎関節症々状の消退(解決)と3Dスプリントの装着の因果関係を明瞭に確認することができます。

一度、試して下さい。私がなぜ『驚異の3Dスプリント』というタイトルを付けているのか?を、ご理解いただけると思います。

2012年3月13日火曜日

驚異の3Dスプリント3

普段は10時診療開始ですが、今日は9時から働きました。
木曜日から宮古島に3泊4日でゴルフに出かけますので、それまでに是非セットしておきたかったケースがあったからです。難しいケースでしたがセットはうまくいきました。
いずれ、ブログでも紹介します。

さて、今日はいよいよ3Dスプリントの登場です。

画像をクリックすると拡大されます。


前歯に歯周病での動揺がなければ、図のように側切歯から側切歯までの小さなスプリントを作成します。なるべく小さくして患者さんの負担を少なくしたいからです。
ほとんどのケースでは、口腔内で直接法で作ります。これによって、印象などの手間を省けますし、アポイントの回数を減らすことができます。
またケースによっては、筋痛を訴えている患者さんの痛みを即座に解決するためにも有効です。
右下の図に示すように下顎正中に小さな突起を設けます。この突起が、閉口時に上顎舌側に設けたフラットな面に接触するようにします。

この装置の目的は、筋骨格安定位に下顎頭を位置づけることです。

下顎位筋骨格安定位にあるときは、きれい(左右対称)なゴシックアーチを描くことができます。

この装置のメカニズムなど詳細については、次回に譲ります。

今日は、早朝から働きましたので早く寝て明日に備えます。  オヤスミナサイ!




驚異の3Dスプリント2

今日も、昨年の地震の状況を思い起こし怖かったなー・・・・・と思っていました。

あの日は、あの時刻にクラウンの形成・印象をしていました。ちょうどバイトを採り材料が固まるのを待っていたときでした。あまりの揺れの大きさに、患者さんと共に3階の診療室から地上へ降りましたが、途中の階段では、このままビルが倒壊するのではないかと思うほどの揺れでした。

無事、道路に出て患者さんに「ひどい揺れでしたね」と話しかけたのですが、何か患者さんの話し方がおかしいので、口元を見たらバイトの印象材が口の中に入ったままでした。やはり、よっぽど慌てたのですね。

先週来院した患者さんは、「私の見積書の日付は2011年3月11日です。記念にとってあります。」と、おっしゃっていました。そう言えば、3時からの予約の患者さんは電車も止まっているのでキャンセルだろうと思っていましたが、何と自転車で(颯爽と?)来られました。「都内の移動は、いつも自転車を利用している」ということです。折角なのでコンサルテーションをし、契約しました。大地震の直後でも、しっかりと仕事をしていたということでしょうか。

さて、今回は3Dスプリントについての話を進めていきましょう。

私は、歯科大学卒業以来、大学院時代も含めて補綴分野に籍を置いていました。この関係もあり、開業し臨床を進めるうちに確かな根拠もないまま『顎関節症は“噛みあわせ”が主な原因である』という考えから離れることができませんでした。いつかは、この考えに基づいて顎関節症の咬合治療にチャレンジしてみたいと考えていました。

2007年に、私たちのグループが日本に招聘したことのある Dr.Dawson が彼の名著「EVALUATION, DIAGNOSIS, AND TREATMENT OF OCCLUSION PROBLEMS」を改訂し、「Functional Occlusion」を著しました。シエン社 http://www.shien.co.jp /から、この本の出版を知らされました。私は、情けないことに英語ができませんので、買うだけ買っておこうと思い購入しました。せっかく投資したので、眺めておりましたら、その中に Anterior Diprogramming Splint  という語句をみつけました。ご承知のように Anterior は前歯という意味です。Diprogramming はプログラムを解除するという意味です。ADS は、「前歯に装着する咬合のプログラムを解除するスプリント」ということになります。

私は、直感的にこれだと思いました。現在でも、顎関節症の原因説が諸説紛々です。特に口腔外科分野で顎関節症を扱う先生方は、咬合原因説を敵のように攻撃するようです。
ADSを装着して、顎関節症から咬合という因子が取り除けるなら、咬合が顎関節症の原因であるかどうかを確認できるのではないかと考えました。

しかし、私の知っている ADS は、Lucia のジグ でした。Lucia のジグ は下図のように下顎頭を下顎窩の後上方へ押し上げるために、ナソロジーが全盛の時期に多用されました。

画像をクリックすると拡大されます。

これでは、逆に顎関節症を作り出すための装置になります。そこで、改良を重ね3Dスプリントを開発することができました。

次回から、3Dスプリントを紹介していきます。

「Functional Occlusion」 http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=5429 は日本歯科大学新潟歯学部の小出教授らの手で、日本語版が2010年に医歯薬出版から出版されました。




2012年3月9日金曜日

驚異の3Dスプリント1

前回までは、顎関節症と体の歪みについてお話してきました。
今日から話題を進め、顎関節症を、どのように治していくかについて話を進めていきたいと思います。

グッと噛んだときには、上と下の歯はもっとも多くの部位で接触します。このときの上下の歯列の関係を咬頭嵌合位といいます。
側頭骨下顎窩に対する下顎骨下顎頭の位置を下顎位といいます。
  

顎関節の神経筋システムや骨格構造が大きな力を受け入れやすい下顎位は、下顎窩に対して下顎頭が、前上方にあるときです。この位置をOkesonは、筋骨格安定位(musculoskeletally stable position)とよんでいます。

頭蓋と下顎骨の関係が筋骨格安定位にあるときに、上下の歯列が咬頭嵌合位にあれば、最大の咀嚼力が得られ、顎関節にも負担をかけない理想的な咬合を得ることができます。

まず、下顎位についての歴史的な変遷を次の図に示しておきます。

画像をクリックすると拡大されます。
この図は、
「有歯顎の咬合に関する基本的事項」小林賢一著 歯界展望Vol.111 No.3 2007-9より
引用、改変しました。

下顎位は現在のようにCTやMRIで、下顎窩に対する下顎頭の位置関係が確認できなかった時代に提唱された最後退位、最上方位が理想的であるという考え方を経て、現在の前上方位という考え方に落ち着きました。

Grangerなどの最後退位を基に構築された理論がナソロジーです。この理論に従って構成された咬合は、すべて失敗に終わり多くの患者さんを失望させ、それに従事した歯科医を落胆させました。
スチュワート咬合器に代表されるように、いかに精細・緻密に下顎の動きを再現しようが、大本になる咬合位が誤っていると、人体にとって受け入れられないものとなります。

Boucherに師事していた日本の総義歯の大家は、今でも最後退位を主張しています。何か根拠があるからなのでしょうか?

最上方位を提唱したDawsonは、その誤りに気づき、前上方派に改宗しました。現在でも、Dawsonを最上方派であると、思い込んでいる日本の歯科医は大勢います。

何と言っても、前上方派の御大はOkesonです。彼は、この位置が骨格や神経筋システムにとっても一番受け入れやすい位置であることを、数多くの文献考察から証明しようとしています。この位置こそが、彼の主張する筋骨格安定位(musculoskeletally stable position)です。

Okesonの筋骨格安定位についての説明は、下顎窩・関節円板・下顎頭の排列にとどまり、全身の骨格、神経筋システムについて言及していません。

私は、筋骨格安定位「全身の骨格、筋神経システムに為害作用を及ぼさない下顎窩・関節円板・下顎頭の排列」と定義したいと思います。

筋骨格安定位をどのように診断し、治療していくかということが明確にされていません。

次回から、この核心に迫っていきます。

今夕は、飲み会がありますので早め(と言っても、ちょっと早すぎ)にブログをアップしておきます。

2012年3月8日木曜日

顎関節症と体の歪み5

昨夜のナデシコ・ジャパンは残念でした。ロンドン・オリンピックでの優勝をを期待しましょう。

今回も前回に引き続き、正面からみた体の歪みです。
今回は編倚(ヘンイまたはヘンキ)と呼ばれる頭位の異常です。
頭位の異常には、この他に傾斜、旋回さらに前傾、後傾があります。
それぞれの頭位の異常は、“かみ合わせ”が原因である場合がほとんどです。
下の図は一例を示しています。
クリックすると画像が拡大されます。
この図は、寺本純先生の「肩こり・首こりが本当によくなる本」からコピーさせていただきました。
残念ながら、この本には“かみ合わせ”が、肩こり・首こりの原因であることは、
一言も記載されていません。
整形外科などでは、咬合について知られていません。
というよりも、まず歯科医が咬合と全身の関係を、よく知ったうえで治療できる知識・技術を
持ち、この情報を患者さんや他の医療従事者に発信していくべきでしょう。


下の画像は、首や肩の違和感や体調不良で、来院された札幌在住の学生さんです。編を起こしているケースです。
スプリントを入れて3日後には、正常な状態になっていましたので、この状態で咬合調整しました。
術後は、すべての症状が消えたということで、出身地である長野県東御市の方を2人紹介していただくことができました。

少し、背が高くなっているのが分かります。
側面写真で確認していませんが、背筋が伸びたようです。
顎関節症の咬合治療で背が高くなることは、よく経験します。

この患者さんの術前・術後の下顎窩、関節円板、下顎頭の排列状態の想像図です。


みなさん、どうしてこんなに簡単に体の歪みが治るのか?不思議に思われませんか?この秘密は3Dスプリントにあります。明日から「驚異の3Dスプリント」についてお話いたします。

今日は、早朝からのゴルフでしたのでこれぐらいで・・・・・オヤスミナサイ!





2012年3月7日水曜日

顎関節症と体の歪み4

今日は、東京は穏やかな日を迎えています。
近くの公園の「梅まつり」は半月も前に終わったというのに・・・・・。やっと梅の満開の時期を迎えました。


前回は、筋骨格安定位における顎関節部の組織の排列を側面から観察しました。
今回は、正面から観ていきましょう。



画像をクリックすると拡大されます。

上の図は、当院の患者さんのCT像です。顎関節部の組織の排列を診る場合には、側面像だけでなく正面像も診なければなりません。
下顎頭が関節窩に対して右にずれたり、左にずれたり,上にずれたりします。これによって体位も変わってきます。
左右にずれた症例については、次回紹介します。

下の図は、右の関節の正面観です。通常、円板の内側は外側より厚くなっています。下顎が運動するとき、円板の柔軟性で対応します。しかし、破壊的な力が持続的に加わると円板に穴が開く(穿孔)、円板のひずみが戻らない、円板が変位するなどの事態が生じます。
この患者さんでは、円板前方転位を起こしています。関節円板だけでなく下顎頭や下顎窩が破壊されることもあります。この例では、下顎頭も変形しています。変形性顎関節症です。

この患者さんは北九州市在住の方です。地元の歯科大学で、矯正治療を受けてから“かみ合わせ”に異常を感じるようになったそうです。
壊滅的な破壊を受けている右の顎関節は、決定的な治療法を見つけ出すのは不可能かもしれません。対症療法を選択するしかないでしょう。いずれにしても、長期戦が予測されますので、北九州市で頑張っておられるT先生に治療か観察をお願いしました。
37歳の男性です。これからの長い人生、顎関節症というハンディを背負って生きていかなければなりません。肉体的にも、精神的にもつらい人生になるでしょう!
もし、矯正治療が原因となってあるのであれば・・・・・、矯正を担当される先生は顎関節症を、熟知していなければなりません。
安易に、歯並びをきれいにするだけではなく、筋骨格安定位という概念を理解し、これを阻害しないような矯正技法を確立する必要があります。なにも、矯正に限ったことではありません。1本の充填、1歯のクラウンを入れるときにも言えることです。

かなり重い話になりましたが、筋骨格安定位という概念は歯科医療にとって欠かせない最重要な話題になっていく可能性があります。
また、すべての歯科医が筋骨格安定位という概念を理解し、これを具現する知識・技術を身に着けることによって歯科医療の未来は開けていくと考えています。

顎関節症と体の歪み3

今日はやっと暖かくなりました。この調子で春を迎えられればよいのですが・・・・・

昨日に引き続き、筋骨格安定位についてお話いたします。

グッとかんだ時に、側頭骨・下顎窩、関節円板、下顎骨・下顎頭はどのように排列しているのが理想的なのでしょうか?

画像をクリックすると拡大されます

右の図は、正常な患者さんの閉口時のMRI像です。MRI像は、「必携・顎口腔領域 画像解剖アトラス」金田隆編・砂書房からコピーさせていただきました。この本は、名前の通り、歯科医には必携の書です。ぜひ、蔵書に加えられることをお勧めします。

金田先生は日大松戸の放射線学教室教授を務められる気鋭の先生です。
私の顎関節症患者さんのCT、MRI撮影はメディカルスキャニングhttp://www.medicalscanning.net/にお願いしています。画像の読影は、同社を通じて金田先生にお願いしております。
ちなみに、CTとMRI撮影費の患者さん一部負担金は8500円程度です。

画像でお分かりのように、下顎頭は下顎窩の前上方に位置しています。そして下顎頭は関節円板の中央狭窄部に向かっています。この状態が筋骨格安定位における3者の生理的な排列位置です。
赤い矢印は側頭筋や頬筋などの閉口筋の働く方向を示しています。強い咬合力で噛むときには、下顎頭は、この方向に加圧されます。
関節円板の中央狭窄部は、神経や血管がほとんど分布していませんので、強い咬合力に耐えることができます。

続きは、明日にでも・・・・・おやすみなさい!

2012年3月6日火曜日

顎関節症と体の歪み2

なでしこ勝ちましたね!優勝してほしいですね。
というわけで、テレビ観戦のため昨日付けで更新する予定が日を越えてしまいました。

顎関節症の患者さんは「なぜ体が歪むのか?」ということをお話します。
2月15日に掲載した写真をもう一度出します。
この患者さんは腰痛が治らないということで、整形外科の先生から紹介されてきた患者さんです。
画像1で、その状況はお分かりと思います。
画像2は、この患者さんの頭部を表わしました。

画像をクリックすると拡大されます。
画像1
“かみ合わせ”が原因で起きている腰痛は
簡単に治すことができます。
画像2

左の図左下の大臼歯に高いクラウンが入っています。このため、側頭骨・下顎窩と下顎骨・下顎頭との関係が変わり、頭が右に傾いてきます。通常、下顎が変位すると考えますが、本当は頭が右に傾き、その重力(頭の重さはボーリングの球と同じくらいです)に耐えられず体が右に傾斜していきます。そのため腰痛が起きたわけです。

中央の図:3Dスプリントを入れると、側頭骨・下顎窩と下顎骨・下顎頭の関係は正常に戻りますが、右の大臼歯が接触しなくなります。

右の図:左の高いクラウンを削って調整します。これで、歯の接触も、側頭骨・下顎窩と下顎骨・下顎頭の関係も正常になりました。画像1の右の状態になります。この関係の“かみ合わせ(咬合)”の位置を“筋骨格安定位”といいます。つまり、筋骨格安定位は歯と歯の関係だけではなく、全身の筋肉・骨格が正常な排列にある位置ということです。

今日のポイントは2つあります。
一つ目は、“かみ合わせ(咬合)”が変わると下顎の位置が変わると考えがちですが、本当は頭位が変わるのです。この患者さんの場合は頭が右に傾斜しています。頭位が変わるから、体が歪むのです。

二つ目は、“かみ合わせ(咬合)”を歯と歯の関係だけで考えてはいけないということです。全身の筋肉と骨格と“かみ合わせ”は密接な関係にあることを忘れてはなりません。

次回は、側頭骨・下顎窩と関節円板、下顎骨・下顎頭の排列関係についてお話します。

3Dスプリントについても、回を改めてお話します。ご期待下さい。

2012年3月2日金曜日

顎関節症と体の歪み1

「あなたの体は歪んでいませんか?」と問われると、ある人は「歪んでないと思います」と答え、ある人は「写真を撮ると、いつも右に傾いでいます」と答えます。さて、あなたは何と答えるでしょうか?
私は、ここ5年ほど、顎関節症や“かみ合わせ”の問題を主訴に来院される患者さんには、まず全身の正面写真を撮って診断を始めます。
「なんで、歯医者さんが全身の写真を撮るの?」と思われるでしょう。
ほとんどの顎関節症患者さんや“かみ合わせ”に問題のある方の体は歪んでいることが解かったからです。
“かみ合わせ”の異常が、体の歪みを起こす仕組みを知ることが、顎関節症を理解するキーポイントになります。
また、この仕組みを理解するには「筋骨格安定位(Musculoskeletally stable position)」という言葉をキーワードにする必要があります。
来週から顎関節症と体の歪みについて、できるだけ易しく解説していきますのでお付き合い下さい。
あなたの健康を左右する問題かもしれませんよ!

クリックすると拡大されます。

世界で一番読まれている顎関節症の咬合治療の本です。
1985年の初版以来5回にわたって改訂されています。
この本の中には17回にわたりMusculoskeletally stable position という
言葉が出てきます。著者Okeson は、この本の最重要なキーワードと考えているのでしょう。

2012年3月1日木曜日

閑話

今日は定休日で、ゴルフの予定でした。ゴルフ場が雪のためクローズで、終日日比谷図書文化館で本の執筆予定でしたが・・・・・
昨夜は、遅くまで読書していたために起きるのが遅くなり自宅で執筆ということにしました。
ここのところ、直木賞受賞作家・葉室麟にはまっています。昨夜は「銀漢の賦」を読了しました。
直木賞受賞作の「蜩の記」は“どう潔く死ぬか”を問うものでした。それに対して「銀漢の賦」は“どう信念を貫いて自然態で生きるか”と問いかけてくるものでした。この二つの作品に触れることによって、私の死生観も少し影響されました。
それに引き替え、芥川賞受賞作の「共喰い」は、読んではいけないものを読んだという後味の悪いものでした。選考委員会のメンバーの質を疑う内容です。まだ、読んでいない方には、読まないほうがいいよというのが私のアドバイスです。


我が家の庭の今朝の雪景色です。
これでは、日曜日のゴルフも無理かも・・・・・