2012年3月7日水曜日

顎関節症と体の歪み4

今日は、東京は穏やかな日を迎えています。
近くの公園の「梅まつり」は半月も前に終わったというのに・・・・・。やっと梅の満開の時期を迎えました。


前回は、筋骨格安定位における顎関節部の組織の排列を側面から観察しました。
今回は、正面から観ていきましょう。



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上の図は、当院の患者さんのCT像です。顎関節部の組織の排列を診る場合には、側面像だけでなく正面像も診なければなりません。
下顎頭が関節窩に対して右にずれたり、左にずれたり,上にずれたりします。これによって体位も変わってきます。
左右にずれた症例については、次回紹介します。

下の図は、右の関節の正面観です。通常、円板の内側は外側より厚くなっています。下顎が運動するとき、円板の柔軟性で対応します。しかし、破壊的な力が持続的に加わると円板に穴が開く(穿孔)、円板のひずみが戻らない、円板が変位するなどの事態が生じます。
この患者さんでは、円板前方転位を起こしています。関節円板だけでなく下顎頭や下顎窩が破壊されることもあります。この例では、下顎頭も変形しています。変形性顎関節症です。

この患者さんは北九州市在住の方です。地元の歯科大学で、矯正治療を受けてから“かみ合わせ”に異常を感じるようになったそうです。
壊滅的な破壊を受けている右の顎関節は、決定的な治療法を見つけ出すのは不可能かもしれません。対症療法を選択するしかないでしょう。いずれにしても、長期戦が予測されますので、北九州市で頑張っておられるT先生に治療か観察をお願いしました。
37歳の男性です。これからの長い人生、顎関節症というハンディを背負って生きていかなければなりません。肉体的にも、精神的にもつらい人生になるでしょう!
もし、矯正治療が原因となってあるのであれば・・・・・、矯正を担当される先生は顎関節症を、熟知していなければなりません。
安易に、歯並びをきれいにするだけではなく、筋骨格安定位という概念を理解し、これを阻害しないような矯正技法を確立する必要があります。なにも、矯正に限ったことではありません。1本の充填、1歯のクラウンを入れるときにも言えることです。

かなり重い話になりましたが、筋骨格安定位という概念は歯科医療にとって欠かせない最重要な話題になっていく可能性があります。
また、すべての歯科医が筋骨格安定位という概念を理解し、これを具現する知識・技術を身に着けることによって歯科医療の未来は開けていくと考えています。

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